第7戦 ヨーロッパGP

予選を見事に決めて2位グリッドを獲得した佐藤琢磨
決勝でどんな結果を残してくれるか楽しみな1戦。


得意なスタートに注目が集まった佐藤琢磨だったが
偶数グリッドは路面が汚れているという不利な条件が響いて
スタートダッシュで3位グリッドのトゥルーリに抜かれてしまう。
それでも長いホームストレートで挽回し、やや強引ながらも1コーナーでトゥルーリのインを刺して2位を取り戻す。
しかし、しばらくカメラが目を離した隙に順位が大きく変わっていた。

 1位 シュー兄
 2位 ライコネン
 3位 アロンソ
 4位 佐藤琢磨
  ・
  ・
 7位 トゥルーリ

映像で見れなかったので状況はわからないが、トゥルーリ佐藤琢磨が競り合って何らかのアクシデントがあったのだろう。
1コーナーでのラフな競り合いがトゥルーリの感情を害し、両者無茶な競り合いで共倒れかもしれない。


今考えれば最初から佐藤琢磨は荒れていた。
結果を残さなければいけない焦りがあったのだろうか。


スタート直後の混乱は収まり、上記のオーダーでレースは落ち着く。
ところが1位シュー兄に対して2位ライコネンのペースが上がらない。
2位以下に数台が数珠繋ぎになる中、シュー兄だけが逃げ始めた。
この状況はライコネンがピットインするまで続き、シュー兄にとって余裕のレース展開となる。
この時点で私の中からカーナンバー(1)は排除w*1


ここまでのレース展開では完全にライコネンが邪魔者であった。
マクラーレンファンの私としては、上位を走ってる姿は嬉しかったのだが、後続車を詰まらせるような遅さが露見するシーンは見ていて辛く、複雑な心境だった……。
遅いマクラーレンなんて見たくない orz


さて、レースは1回目のピットタイミングに差し掛かる。
TOP集団で最初に動いたのはシュー兄。
予選は相当軽くしてポールを獲る作戦だったようだ。
期待に応えてしっかりポールは獲得し、1回目のピットまで2位以降を引き離して余裕の展開を作った。
つくづく実力と運を兼ね備えた憎たらしい奴である。


上位陣も続々ピットインし、ライコネンが入り、アロンソが入った。
しかし佐藤琢磨はまだ入らない。
佐藤琢磨にとって前が開けたこの時間が頑張りどころである。
シュー兄が8周目にピットインしたのに対し、佐藤琢磨は12周目まで引っ張ってようやくピットイン。
予選ではそれだけガソリンを積んでいながら2位を獲得したのだ。
今週末いかに調子良かったか分かる。


そして琢磨が一回目のピットストップを行う。
ここでBARの戦略が光った。
なんと6秒台の短時間で送り出したのである。
前戦モナコではピット戦略の甘さが目立ったが、しっかり反省し活かしてきた。
また、金曜土曜でBARはみっちりピット作業の練習をしていたらしい。
BARはチームとしてしっかり成長しているようだ。


このショートストップが功を奏し、渋滞の前に復帰する。
ピットストップでアロンソを抜き去り、さらに渋滞に巻き込まれたアロンソを尻目にその差を引き離す。
こうなれば戦う相手はフェラーリのみである。


多くの車が3ストップ作戦を採る中、バリチェロは2ストップ作戦で採用していた。
予選では後方に沈んでしまっていたが、地道なレース展開で2位までポジションを上げる。
そして最後のピットストップ*2を巡って、2位バリチェロと3位佐藤琢磨の間で攻防が繰り広げられた。
2ストップのため先に最終ピットストップを済ませたバリチェロは見かけ上3位となり、最終ピットストップを行っていない佐藤琢磨は見かけ上の2位を走行していた。
このサーキットでピットのロスタイム(目安)は約15秒+静止時間。
7秒ストップすれば22秒かかる計算になる。
佐藤琢磨は必死にプッシュしてバリチェロとの差をジリジリ広げ始める。
佐藤琢磨が最後のピットに向かった時、バリチェロとのタイム差は21秒ちょい。
かなり辛いタイム差であった。


佐藤琢磨がピットを終えコースに戻ったのは、バリチェロのほんの後ろ。
あと1秒も速ければ入れ替わっていたかもしれないような位置であった。
バリチェロの後ろに入った佐藤琢磨はそれでもなお諦めない。
1周目のパフォーマンスが抜群に良いミシュランタイヤの特性を活かして一気に詰め寄る。
すぐに追いつきコーナー入り口でインを刺す。


が、しかし……。
やはり佐藤琢磨には焦りがあったのかもしれない。
強引すぎる突っ込みは後ろを見ていなかったバリチェロにインを閉められ接触
佐藤琢磨フロントウィングを失ってしまう。


後ろを見ていなかったバリチェロに進路を阻まれ接触という結果になってしまったが、佐藤琢磨は強引過ぎだった。
あのシーンはノーズをインに突っ込み一旦引っ込め、後ろから攻めていることをアピールして「俺はいつでも抜けるんだ」を牽制するに留めておくべきだったと思う。
走り始めて2,3周目に大きなパフォーマンスダウンがあるミシュランタイヤなので、一刻も早く抜き去りたい気持ちはあっただろうが、接触してマシンを壊しては全てが台無しである。
今の佐藤琢磨のアグレッシブさは失って欲しくないが、攻めどころ引き際を見極められる巧みさを兼ね備えられればもっと強くなれる、と信じている。


接触によってフロントウィングを失った佐藤琢磨は緊急ピットインを余儀なくされ5位まで後退。
しかし、戦線復帰したのも束の間でエンジンブローでリタイアしてしまう。
解説の脇坂氏はフロントウィング破損の際にサイドポンツーンから破片を拾ってしまって、ラジエータを壊したか通気口をふさいだのが原因かもしれないと言っていた。
もしかしたら接触が無くてもエンジンは壊れていたかもしれない。
それは起こりえない未来なので分からない
しかしながら3位以上の可能性があるレースを落とした。


いつか素晴らしい結果を残してくれると信じている。
頑張れ!


レースの最終結

 1.  1  M.シューマッハ     Ferrari           B   1h32'35"101  200.160 Km/h   3  
 2.  2  R.バリチェロ       Ferrari           B   +  0'17"989  199.514 Km/h   2  
 3.  9  J.バトン           BAR Honda         M   +  0'22"533  199.351 Km/h   3  
 4.  7  J.トゥルーリ       Renault           M   +  0'53"673  198.244 Km/h   3  
 5.  8  F.アロンソ         Renault           M   +  1'00"987  197.986 Km/h   3  
 6. 11  G.フィジケラ       Sauber Petronas   B   +  1'13"448  197.548 Km/h   2  
 7. 14  M.ウェバー         Jaguar Cosworth   M   +  1'16"206  197.451 Km/h   2  
 8.  3  J-P.モントーヤ     Williams BMW      M      1 lap(s)                 3  
 9. 12  F.マッサ           Sauber Petronas   B      1 lap(s)                 2  
10. 18  N.ハイドフェルド   Jordan Ford       B      1 lap(s)                 3  
11. 17  O.パニス           Toyota            M      1 lap(s)                 3  
12. 15  C.クリエン         Jaguar Cosworth   M      1 lap(s)                 2  
13. 19  G.パンターノ       Jordan Ford       B      2 lap(s)                 4  
14. 20  G.ブルーニ         Minardi Cosworth  B      3 lap(s)                 3  
15. 21  Z.バウムガルトナー Minardi Cosworth  B      3 lap(s)                 3  
16. 10  佐藤 琢磨          BAR Honda         M     13 lap(s)                 4  
17.  5  D.クルサード       McLaren Mercedes  M     35 lap(s)                 1  
18.  6  K.ライコネン       McLaren Mercedes  M     51 lap(s)                 1  
19.  4  R.シューマッハ     Williams BMW      M     60 lap(s)                 0  
20. 16  C.ダ・マッタ       Toyota            M     60 lap(s)                 0  

*1:しかしながら開催場所がシュー兄の実家から近いこともあり、シュー兄の無意味なカットインが多くてむかついた

*2:バリチェロ2回目、佐藤琢磨3回目